こうして僕たちは出会った。

 こうして僕たちは出会った。この出会いはきっと、他の出会いとは違っていて、ただ出会ったというだけでなくて、有り体に言ってしまえば互いの運命を変えるような出会い。たいていの出会いが、そうじゃねえかと思うかもしれないけど、そんなことなくて、ほとんどの出会いは運命なんか変えなくて、ただ出会いなんだ。
 そんなわけで僕たちは出会った。何度も言うけど、ただ出会ったんじゃなくて、互いが互いのことを尊敬している出会いだった。だから運命だって変わったし、その関係を大事なものにしようと思ったのだ。
 僕たちは互いが片想いみたいにして過ごしてる。別に両方から想ってなくても構わない。ただ私はあなたのことを慕ってる。それだけでいい。あなたのことを感じられるだけで幸福。そう互いに思ってる。だからうまくいくのだと思う。
 君がこれからどんな面を見せようとも、その全てを許せる、とは言わないけど、けっこう許せる。それは自分だってそう。僕は完璧じゃないし、君には都合の悪いこともたくさんあるだろう。人間のうちに完全な人などあり得ない。そう心得ているなら、僕たちはたぶん大丈夫。
 何かあって、けんかになれない相手とは男と女になりたくないと君は言うけど、もうとっくに僕たちは離れ得ない何かを互いに持っている。互いに裏切ることもなく、しかし期待に応えるというわけでもなく、ただそう在るだけで、僕は君が愛おしい。君が愛おしく思ってくれていたらうれしいけれど、それは確認するまでもない。「きっと」という言葉を使うまでもなく、僕たちは互いの気持ちを知っている。
 僕はきっと間違いも犯すだろうし、君だってそうかもしれない。だとしても互いに互いを支え合うことができたなら、僕たちはきっとうまくいくだろう。互いの欠点を補完し合い、僕たちは生きていける。互いが互いを強く必要とし、しかし互いがいなくても生きていける。だけど、共に誰かと生きるのなら君がいい。

 僕は君にそう言いたかった。

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