永いいい訳
彼に私は問う。
「自分のしたことで後悔したことってある?」「あるよ、たくさん」「もっとできたかもしれないって思う?」「自分のしたことを未来の自分がどう思うかは、今の自分がどういう風にそれを成しているかで決まるんじゃないかな」「どういうこと?」「手を抜いた瞬間から自信はどんどんなくなってく、みたいな」
私は生きてきてずっと後悔ばかりだ。形になってないし、自信もない。何をやってもダメで、ずっと進まずに生きてる気がする。
「自分が一生懸命にやった感触ってずっと残るよねー。それがたとえうまくいかなかったとしても、次に繋がるのかな」「そうそう」「やった『感触』って残るよね。自分の中の納得感みたいなの」「人にどう評価されようと、自分の感覚は正直だよね。きちんと『込めた』かどうかは自分がちゃんと見てる。手を抜いた瞬間に何かを失うのは自分なんだよね」
痛い所を突かれて瀕死の私。このままやってて、うまくいくんだろうかと私は悩んでたんだ。
「うぅ。そう言われると自信ないなぁ。あたしはきちんとやってんのかな」「そういうのも、後になったらわかるんだよ、きっと」「すぐには結果はでないよね」
目先の苦労にばかり目がいっていて、大局的な視点が欠けていたかもしれない。未来の自分がどう思うかなんて、考えたこともなかった。
「自分のことを誇りに思える行動しないと、どんどん荒んでくよね」「それって、自分では気がつかないのよね。いつの間にかこんな気持ちになっているって感じで」「そうだね」「見て見ぬ振りするのは簡単だけど、尻拭いするのはけっきょく自分なんだよね」「後悔という形にすら現れずになんか違う、って人生の人たくさんいる」
いろんな人のことを思い出すな。口を開けば愚痴しか言わない人。自分の人生なのに、何かの所為にしてる人……。
「たぶんみんないろんなことを言い訳にするし、できるし、人はきっと様々なんだよ。何が良いかなんてみんな違うのだし」
私もそうかもしれない。なんとなく生きて、なんとなくいろんなことして、なんとなく死んでいくのだろうか。いろんなことがあやふやになってく気がした。
「自分のこと肯定するのって難しい気がするけど」「そうかなー。もう覆せない『過去』のことだから、人は肯定したがるものなんじゃないかな、何があったとしても」「うーん、そうかも。昔のことは良いものだったと思いたいものなのかもね。つらかったとしても、何かよかったことを探したいものなのかも。なんかそういうバイアス働くよね」「そうそう」
人は過去を美化するし、そうできない過去は記憶から葬り去る。そんなこと簡単なんだ。
「私の人生だもん、きちんと自分を見つめて、誤魔化さずに、自分の責任で生きたいわ」「良いね。惚れ直した」
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