寝付けない私に、母が話してくれたこと

 寝付けない私に、母が話してくれたことには。
「大人時代の方が楽しいのよ。子供時代も楽しいけどね。本当よ」
「欲しいもの買えるし、美味しいものを好きに食べられるし。いろんなことが自分の思い通りになるのよ」
「そうね。すべての大人がそうではないかもしれないけど、これからのあなたの振る舞い次第では、いろんなものが手に入る人生になるのよ」
「お母さんたちは運も良かったけど、努力もしたのよ。すべての努力が報われたわけじゃないけれど、努力しない人が報われるわけじゃないのよ」
「あなたは、まだピンとこないでしょうけど、自分のしたことで人に認められるっていうのは、とてもうれしくて、誇らしいことなのよ」
「褒められるっていうのも似てるけど、ちょっと違うの。認められることでいろんなことが良い方へ進んだり、自信を持てたりするのよ」
「いろんなことを自分の責任でやっていくってのは、楽しいことなのよ」
「しなくてはならないこともあるけれど、そういうことも知恵次第では楽しいことに変えられるのよ。本当よ。今つらいことも、工夫次第で楽しいことに変わるのよ」
「そういう知恵を身につけるといいわよ。学びなさい。学校の勉強だけじゃなくて。いろんなことを」
「それにね、大人になったら、人を愛する歓びを知ることができるのよ。相手が自分をどう思おうが構わない。ただ自分はこの人のことを愛してる、この人の為になりたい。そう思って実際にいろんなことができるのは幸せなことなのよ」
「そうね。いろんな人に認められる人間になりなさい。人をまっすぐに愛せる人間になりなさい。そうしたら、すこしは幸せになれるかもしれないわ」

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