興味を持つということ

「これなに? なんていうの?」
「君は何にでも興味を持つねえ」
「そうかしら? 興味あるものにしか興味ないけど」
「いや、知らないということを躊躇しないのは良いことだ」
「ふーん、知りたいだけなのよ。今の世なら名前さえ知ることができれば、ネットがあるじゃない」
「そうだけど、」
「知らないで後で恥かくのは自分でしょう? それになんていうのかな、知りたいってのは小さい頃からずっとあるのよね。自分の好きなことに対しては」
「うーん、誰もがそうできるわけじゃないんだよ」
「そう? そんなの当たり前でしょう」
「いやー、結構みんな面倒くさがったり、後回しにしたり、躊躇したりするものだよ」
「よくわからない。自分の知りたいことを知ろうとするのなんて、当たり前だと思うけどなー」
「まぁそういう人にはそうかもね」
「興味を持つってなんなんでしょうね。何にでも興味湧くわけじゃないし、何にでも関心があるわけじゃないのよ」
「うーん。なんか惹かれるものがあるんだろうね。嗜好っていうかさ」
「そういうの、どうやって決まるんだろうね? 好きな人の好きなものを好きになったことある?」
「あるよ、ぜんぜん」
「あの感じもなんか変なものが混じってそうで、なんか自分で嫌になったりするのよね。醒めるっていうか。純粋に自分の嗜好で好きなものを好きでいたいのに」
「うーん、大抵の人は人に合わせたりするんだよ。仲良くなるためとか、愛を示すために」
「それが愛なの? よくわからないわ。でもまぁそれで仲良くなるってのはわかるかな」
「相手を受け入れてるっていうかさぁ。あなたを認めてますよ、ってことに、ならないのかなぁ、君にとっては?」
「それで仲良くなっても見せかけよね、それは。と思うけど」
「別に恋人同士で同じ趣味を持つ必要もないけど、理解は必要じゃない?」
「うーんまぁ。でもそれってその人のこと好きなのかしらね」
「どんな趣味を持ってようとも構わず、相手のことを受け入れることができる、ってのはある意味最強だよなー」
「でしょう? そっちのが、愛なんじゃないの」

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