ちいさい頃

「じいじもご本を読むの?」
「ん? うん、そうだね」
「かめんらいだー?」
「いや、俺は仮面ライダーは読まないな」
「じゃあなにをよんだの」
「俺も小さい頃には本を読んだよ」
「じいじもちいさいころがあったの」
「そうだよ」
「なによんでたの」
「うんと昔のことだから忘れちゃったよ」
「ふーん。ボクがうまれるまえ?」
「そうだね、うんと前。君のパパとママが生まれるより前だよ」
「パパとママにもちいさいころがあったの」
「そうだよ。みんな小さい頃があったんだよ」
「イイモノにも? ワルモノにも?」
「そうだよ」
「かめんらいだーにも?」
「そうだよ」
「じいじはちいさいころなんさいだった?」
「んー、、君は今いくつだ」
「4さいだよ」
「じいじも四歳の頃があったよ」
「かめんらいだー?」
「仮面ライダーはなかったなぁ」
「じゃあなにがあったの」
「ん、いろんなのがあったぞ。なんでもあったぞ」
「みんなちいさいころがあったの? ぜったい?」
「そうだな。小さい頃がない人間はいないんだよ」
「ちいさいころはみんなおなじなの?」
「いや、みんな違うよ。俺の時は俺の時。パパの時はパパの時。君の時は君の時」
「じゃあ、いつがいちばんいいの」
「うーん、それぞれにそれぞれがいいんだよ。どっちがいいってことはないんだよ」
「ふーん。ちいさいころ、たのしかった?」
「そうだなぁ。楽しかったな。でも大人の方が楽しいぞ」
「ふーん。」

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